医学部受験英語個別指導

英検準1級単熟語EX・パス単準1級・ランク順準1級を比較してみた|「共通語519語」から見えた出版社ごとの思想

英検準1級向けの単語帳として有名な、

・パス単準1級(5訂版)
・ランク順英検準1級英単語1900(新装版)
・英検準1級単熟語EX (第2版)

この3冊を、Pythonを用いて比較分析してみました。

今回行ったのは、単なる「おすすめ比較」ではありません。

各単語帳の「見出し語」をデータ化し、

・3冊共通語
・各単語帳固有語(その単語帳にしか載っていない語)
・語彙分野の偏り
・出版社ごとの編集思想

を分析しました。

すると、かなり面白いことが見えてきました。

1.分析結果一覧

まずは今回の基本データです(熟語は除いています)。

単語帳総語数 固有語数
パス単1600語444語
ランク順1600語543語
EX2076語848語

さらに、

項目語数
3冊共通語519語

という結果になりました。

最も驚いたのは、

「3冊共通語が519語しかなかった」

という点です。

つまり、

・共通語
= 「準1級として絶対に必要な語」

である一方、

残りの1000語以上には、

「出版社ごとの英語観」

がかなり強く反映されているということになります。

そこで今回は次のような考え方で分析を進めて行きました。

・共通語=準1級の本体
・固有語=出版社の思想

2.3冊共通語519語を分析してみる

まずは、この519語がどのような語群なのかを見ていきます。

医療・健康系語彙がかなり強い

例えば、

・addiction(中毒)
・checkup(健康診断)
・diabetes(糖尿病)
・hygiene(衛生)
・medication(薬・薬物治療)
・prescription(処方箋)
・syndrome(症候群)
・symptom(症状)
・transplant(移植)
・vaccine(ワクチン)

など。

社会・経済系語彙も非常に多い

例えば、

・bankrupt(破産した)
・budget(予算)
・corporation(株式会社)
・legislation(法律制定)
・insurance(保険)
・infrastructure(社会基盤)
・recession(不況)
・revenue(収益)
・tariff(関税)
・transaction(取引)

など。

この辺りは、新聞・社会問題・政治経済テーマで頻出する語彙です。

環境・科学系語彙

さらに、

・deforestation(森林伐採)
・ecosystem(生態系)
・emission(排出)
・toxic(有毒な)
・habitat(生息地)
・organism(生物)
・acid(酸性の)
・hydrogen(水素)
・statistics(統計学)
・analyze(分析する) 

など。

いわゆるSDGs・環境問題系長文で頻出する語彙が多く入っています。

これらの単語は

「現代社会の問題を説明する文章」

の中でこそ本領を発揮する語です。

つまり英検準1級は、

「英語を使って社会・科学・医療・環境を読み解く力」

を測定する試験であるといえます(まあ、当然ですが)。

3.固有語に表れる「出版社ごとの思想」

ここまでは3冊共通語でした。

つまり、

「どの出版社でも外せない語」

です。

逆に言えば、

ここから先に出てくる「固有語」にこそ、

出版社ごとの思想が現れます。

パス単の特徴|最も「基本的」

パス単は、一言で言えば、

・基本語重視

という印象がかなり強い。

例えば、パス単固有語には、

・ache(痛み)
・affect(影響を与える)
・admit(認める)
・devote(捧げる)
・claim (主張する)
・confess(告白する)
・eager(熱望して)
・fulfill(果たす)
・import(輸入する)
・media(マスメディア)
・principle(原理・原則)
・postpone(延期する)
・scold(叱る)
・wisdom(知恵)

などが含まれていました。

これらは、難解な専門語というより、

「英語教育の基本語」です。

つまりパス単は、

「まず準1級に必要な土台を固める」

という思想がかなり強いように感じます。

変に難語へ走らず、

「英検準1級として必要な標準語彙」

を厚くしている。

その意味で、非常に“教育的”な単語帳です。

ランク順の特徴|現代実戦英語寄り

ランク順は、かなり実戦的です。

特徴的なのは、

・ニュース英語寄り
・現代社会テーマが多い

という点。

例えば、ランク順固有語には、

・administrative(管理上の)
・administrator(管理者)
・consumption (消費)
・analyst(分析官・アナリスト)
・analysis(分析)
・antibody(抗体)
・automate(自動化する)
・bacteria(細菌)
・marketing(マーケティング)
・managerial(経営の・管理職の)
・technician(技術者)
・technological(技術的な)
・accessible(利用しやすい)
・accreditation(認定)

などが含まれていました。

これらは、

・医療
・IT・データ分析
・ビジネス
・現代社会

との接続が強い語です。

つまりランク順は、

「現代社会を英語で読む」

という方向性をかなり意識している。

単なる「英検対策」に閉じず、

より実戦的・現代的な英語へ接続しようとしている印象があります。

EXの特徴|学術・教養・専門語

EXは、かなり独特です。

この3冊の中では、

最も academic な空気があります。

特徴としては、

・教養語彙が多い
・専門語が強い
・準1級+α感がある

という印象。

例えばEX固有語には、

・anorexia(拒食症)
・backlog(未処理案件)
・accusation(告発)
・adhesive(接着性の・接着剤)
・facade(外観・見せかけ)
・amendment(修正・修正条項)
・idealistic(理想主義的な)
・kinship(親族関係・類似性)
・lament(嘆く)
・observance(慣習・遵守)
・annotation(注釈)
・radius(半径)
・tactical(戦術的な)
・yardstick(尺度・基準)
・zinc(亜鉛)

などが含まれていました。

かなり、

「大学教養」「学術説明文」

に寄っています。

つまりEXは、

「準1級合格」

だけではなく、

「英語で知的内容を読む」

方向へかなり踏み込んでいる単語帳だと感じます。

各単語帳の特徴まとめ

単語帳特徴
パス単基本語重視
ランク順現代社会・ビジネス・実践英語寄り
EX学術・教養・専門語寄り

4.今回の分析で見えてきたこと

今回の分析の結果、単なる掲載語の差以上に、それぞれの出版社が描く「準1級合格の先にある英語力」の違いが鮮明になりました。

「共通語519語」は準1級の絶対的コア

3冊すべてが一致して掲載した519語は、まさに「外せない急所」です。

ここには、

・医療
・社会
・経済
・環境
・科学

といった、近年の英検が重視するテーマ語彙が凝縮されていました。

「固有語」に出版社の戦略が現れる

それぞれの単語帳にしか載っていない固有語にこそ、各社の思想が反映されていました。

・パス単
→ 基礎語を厚く積み上げる「教育型」

・ランク順
→ ニュース・現代社会を重視する「実戦型」

・EX
→ 学術語・教養語へ踏み込む「アカデミック型」

つまり、

「どれが最強か」

ではなく、

「自分がどのような英語力を目指すか」

によって、選ぶべき単語帳が変わるということです。

本来の目的は「どの単語帳が医学部受験に向いているか」

今回のようにPythonで単語帳を比較すると、

「なんとなく難しい」

という感覚を、

「どの分野の語彙に偏っているか」

という客観的な形で可視化できます。

特に、

・医学部受験英語(このサイトの本来のテーマ)

との接続を考える上で、

今回の分析はかなり有益だったように感じています。

5.結び

「単語帳1冊を完璧に」

とはよく言われます。

しかし、その1冊が、

「どのような思想で編まれているか」

を知ることは、学習効率やモチベーションに大きく影響します。

今回の分析結果が、

皆さんの「戦略的な準1級対策」の参考になれば幸いです。

次回は、これらの単語帳からターゲット1900に載っている英単語を差し引いて分析してみたいと思います。

また最終的には医学部受験に用いるとしたら、どの単語帳が有効かも分析してみたいと思っています。

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