医学部受験の英語を指導していると、なかなか成績が伸びない生徒には、いくつかの共通点があることに気づきます。
もちろん個人差はありますが、多くの場合、問題は「才能」ではありません。
勉強の順序や方法にズレがあることがほとんどです。
ここでは、私の指導経験の中でよく見られる典型的なパターンを紹介します。
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① 文法が穴だらけ
まず最も多いのがこれです。
本人は「文法は大丈夫」と思っているのですが、実際に見てみると
・関係詞
・分詞構文
・仮定法
・助動詞
・比較
などの理解がかなり曖昧なケースが少なくありません。
長文が読めない原因は、文法構造の理解不足であることが多いのです。
英語長文は、結局のところ
「語彙+文法+構文」
で成り立っています。
※語彙=単語+熟語
文法が曖昧なまま長文を読み続けても、読解力はなかなか伸びません。
「Next Stage」や「Vintage」などの文法・語法のセクションは、まず確実に身につけておきたいところです。
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② 単語量が足りない
医学部受験の英語は、一般的な大学入試よりも語彙レベルが高いことが多いです。
しかし意外なことに、
「単語帳を一冊しっかり覚えていない」
という受験生は少なくありません。
単語力が不足した状態で長文を読むと、
・知らない単語が多すぎる
・文の意味がぼやける
・読むスピードが落ちる
という悪循環になります。
語彙は地味ですが、最も確実に点数に直結する部分です。
以前教えた生徒の中で、単語帳1冊のうち7割程度しか覚えていない状態で医学部に合格した生徒は、2人しかいません。
ただし、その2人は数学が鬼のようにできました。
医学部受験において、単語帳(約2000語)を一冊仕上げることは最低条件だと考えています。
単語帳は「ターゲット1900」でも「システム英単語」でも構いません。
ただ、経験上それだけでは足りない場合も多いと感じています。
できればさらに1000語ほど、上級レベルの語彙で知識を補強しておきたいところです。
例えば
・キクタン【Super】(12000語レベル)
・速読英単語 上級編
・英検準1級用の単語帳
などが有効です。
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③ 構文が取れていない
医学部の英語長文は、文構造がかなり複雑です。
・長い修飾
・挿入
・抽象的な主語
などが多く、文の骨格を見抜く力が必要になります。
しかし多くの受験生は、
「なんとなく前から読む」
という読み方をしています。
これでは英文が長くなるほど意味が崩れてしまいます。
英文を読むときには
・主語
・動詞
・修飾
という構造を意識して読む力が必要です。
構文対策としては
・入門英文問題精講
・英文熟考(上)(下)
などの問題集が有効でしょう。
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④ 長文ばかりやっている
これも非常によく見られるパターンです。
「長文が苦手だから長文をたくさん読む」
一見正しそうに見えますが、基礎が弱い段階では効率が悪いことが多いのです。
文法・構文・語彙が弱い状態で長文を読んでも、
・読めない
・時間がかかる
・理解できない
という状態が続きます。
結果として
「英語が苦手だ」
という感覚だけが強くなってしまいます。
以前はセンター試験の英語に文法問題が含まれていたため、受験生の多くが文法をきちんと勉強していました。
しかし共通テストに変わり、英語から文法問題がなくなったことで、「文法は出ないからやらなくていい」と勘違いする生徒が増えてきたように感じます。
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⑤ 過去問を早くやりすぎる
これもよくある誤解です。
「志望校の過去問は早く解いた方がいい」
確かに、傾向を知るために過去問は重要です。
しかし、基礎が固まっていない段階で過去問に取り組んでも
・難しすぎる
・時間だけかかる
・自信を失う
という状態になりやすいのです。
過去問は
「基礎完成後の戦略教材」
だと考えています。
基礎が固まってから取り組むことで、本来の効果を発揮します。
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英語が伸びる順序
医学部受験の英語は、勉強の順序が非常に重要です。
私が考える基本の順序は次の通りです。
文法・単語
↓
構文
↓
長文・熟語
↓
過去問
この順序が崩れると、努力しているのに成績が伸びないという状態が起こりやすくなります。
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医学部受験の英語は確かに難しい試験です。
しかし、「正しい順序で積み上げる」ことができれば、安定して得点できるようになります。
重要なのは、闇雲に長文を読むことではありません。
基礎を構造的に積み上げることなのです。

