「文法は一通りやりました」
それなのに、なぜか長文問題になると点数が伸びない。医学部受験生を指導していると、こうした悩みをよく耳にします。
一見すると不思議に思えるかもしれませんが、
実はこの状況にははっきりとした理由があります。
⸻
「文法ができているつもり」になっているケース
まず最も多いのが、本人は「文法ができている」と思っているだけというケースです。
これまで指導してきた中でも、
「文法はもう大丈夫です」
「文法は完璧なので長文をやりたいです」
と自信満々に話す生徒ほど、実際には基礎が抜けていることが少なくありません。
たとえば、
• 助動詞の過去推量の意味の記憶があいまい
• 関係詞の構造を正確に取れていない
• 分詞構文を“雰囲気”で処理している
といったように、
一つひとつは「知っているつもり」でも、
長文の中で正確に処理できていないことが多いのです。
その状態で長文演習だけを繰り返しても、
当然、伸び悩みます。
⸻
「長文が伸びるのは時間の問題」になる人の条件
本当に長文が伸びる状態とは、単に「文法をやったことがある」だけでは足りません。
次の4つがそろって、はじめて
長文が伸びるのは時間の問題(あとは長文の練習をひたすらするだけ)、と言える状態になります。
⸻
① 文法
時制・助動詞・関係詞・分詞などの各単元について、知識として理解しているだけでなく、長文の中で瞬時に処理できる状態になっていること。
⸻
② 構文
文の骨格を瞬時に取れること。
主語・動詞・修飾関係を前から処理でき、「どこがどこを説明しているのか」をその場で整理できること。
⸻
③ 単語
最低でも、受験用英単語帳1冊分(2000語程度)の語彙が即座に意味として出てくる状態になっていること。
⸻
④ 熟語
受験用の英熟語帳1冊分(1000語程度)の知識があり、長文の中で意味を取り違えずに処理できること。
⸻
この4つがそろってはじめて、
「長文は演習量に比例して伸びる段階」に入ります。
逆に言えば、どれか一つでも欠けている状態で長文演習だけをしても、伸びは非常に鈍くなります。
⸻
親御さんが感じる違和感の正体
親御さんから、
「文法も単語もやっているのに、
なぜ長文だけ伸びないのか分からない」
と相談されることも少なくありません。
多くの場合、“やっている”ことと“使える状態になっている”ことの間に、大きなギャップがあります。
参考書を一通り終えた = 長文が読める土台が完成している
というわけではありません。
⸻
伸びない原因は「努力不足」ではない
長文が読めない原因は、努力が足りないからでも、センスがないからでもありません。
多くの場合、
• 何ができていないのかが本人に見えていない
• どこから立て直すべきかが整理されていない
という構造的な問題です。
この状態のまま「とにかく長文を解け」と言われ続けると、本人の自己評価だけが下がっていきます。
⸻
まとめ
文法ができているつもりなのに長文が伸びない場合、問題は長文そのものではありません。
多くの場合、
• 文法
• 構文
• 単語
• 熟語
このいずれか、あるいは複数が
「使える状態」になっていないことが原因です。
まずは長文演習を増やす前に、
自分の土台が本当に整っているのかを
一度、冷静に見直してみることが重要です。



